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ニューヨーク・東京勤務を経て、起業はスイスで

Laurent Balmelli氏はスイス西部・ヴォー州を拠点に構える起業家です。これまでに多くの多国籍企業で事業を立ち上げる経験を経て、現在に至ります。Balmelli氏の豊富な経歴と、同氏が最終的に事業設立の地としてスイス西部を選んだ理由を、INNOVAUDのインタビューで語っています。

スイス人起業家のLaurent Balmelli氏
この地域の強固なスタートアップコミュニティが、Laurent Balmelli氏にとってスイス西部での事業設立の決め手となりました。

スイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)で通信システム学の博士号を取得後、IBMのニューヨーク支社や東京支社に数年間勤務、その後にヴォー州に戻りビジネスを始められています。この経験は事業設立にどのように影響していますか。
博士号を取得後、私は米国・ニューヨークのIBM社の研究部門に就職し、主に特許につながる基礎研究に従事していました。その6年後、勤務地はIBM東京支社に移り、ソフトウェア開発、システムエンジニアリング、技術移転に携わりました。日本で5年間を過ごして故郷のスイスに戻った時には、それまでに学んだスキルを活かして起業する準備が整っていました。この地域には才能豊かなエンジニアが多く、彼らの技術を、実用的で市場性ある製品への実装支援にチャンスがあると感じました。しかし、一般企業での製品開発から独自の市場開拓への変換は容易なものではありません。根本的な思考を、「いかにより良い技術に発展させるか」から、「いかに市場性のある技術を開発できるか」に焦点を移す必要があります。かつて提供してくれたコーポレート・マーケティング・チームの支援に頼るのではなく、市場に対して自分自身が理解を深める必要があります。

スイスに帰国後、投資銀行勤務経験がある妻とSana|Eliasというコンサルティング会社を立ち上げました。妻は金融アドバイザリーサービスを専門とし、私は市場ニーズに基づくイノベーションや価値創造についてクライアントにアドバイスしていました。2015年に、地域のエンジニア専門教育機関であるHEIG-VDから依頼を受け、研究成果を市場展開するサポートを行いました。この依頼をきっかけとして、私たちはstrong.codesという名の会社を設立し、スナップチャット運営で知られるSnap Inc.に売却するまで同社で指揮を執りました。そして、Snap Inc.による買収後の3年間は、スナップチャット・スイスのディレクターとして従事しました。
 

Y-PARC、Microcity、Tech 4 Trustを中心に、若い企業のアドバイザーとしても活躍しています。実際にどのような活動をしていますか?
非常に充実した経験で、若い起業家たちがもたらすエネルギーを目の当たりにして刺激を受けています。起業は、営業、管理、マーケティングなどの 「ソフトなスキル」の経験が乏しいエンジニアにとっては険しい道かもしれません。しかし、差別化できるブランドの構築には、これらのスキルは極めて重要です。我々が提供するコーチングプログラムを通じて、スタートアップが直面している市場展開戦略における課題に対して理解を深め、一般市場におけるポジショニングでの困難解決を支援しています。起業家がコミュニティに加わり、そして、私たちのような経験者がスタートアップに還元していくことが重要だと考えています。

 

なぜスイス西部を事業地として選択したのですか。
地域のスタートアップコミュニティがとても強固なものだからです。多くの支援が提供され、潜在的なビジネス関係を構築する新たな機会やインスピレーションに溢れています。成功する起業家は、何かを創造する動機を持ち、自信のビジョンを売り込む有能な 「ハスラー」 でならなければならなりません。ヴォー州では、そういった動機を語り奮闘する人々の光景は多く見受けられます。そして、周囲も起業家が成功することを望んでおり、その実現に向けた仕組みを構築しました。コーチングやネットワーキングだけでなく、FITや同分野のベンチャーキャピタリストなどを通じて資金調達も行っています。

 

ヴォー州はスタートアップの成長に適した環境を提供しています。地域のイノベーションエコシステムは、ビジネスの発展にどのように役立っていますか?
特に恩恵を受けているのは、適切な人々に出会えることです。我々の知り合いを通じて、大きな機会を与えてくれた多国籍企業のディレクターを紹介されました。そして、同じような課題に直面している他の起業家たちとの交流で多くを学び、「起業家精神の霧(「戦争の霧!」に相当するような業務)」を乗り切るためのネットワークを作り上げることができました。ヴォー州が提供するダイナミックなエコシステムは、我々の事業開発活動を効率化しています。ここ数年で大きく変化し、現在はより国際的で正しい方向に成長していると感じています。

私が現在立ち上げに携わっているY-PARC拠点とするスタートアップにとって、この地域は様々なバックグラウンドを持つ人材を提供してくれます。当社は、主に技術系企業が、同社の知的財産、企業秘密、機密情報を危険にさらすことなく、アウトソーシングの開発者、在宅勤務の派遣スタッフ、出向従業員などを活用できるサービスを提供しています。特に、アウトソーシング人材の拠点が海外の場合は、機密保持事項が重要となります。そのため、コードの書き方はもちろんのこと、様々な法制度を利用したり、異なる業界へセールスをしたり、ユーザータイプ別のインターフェースを設計できる人材が必要です。スイスで大学を卒業した人材は、そのあらゆる分野のスキルを網羅しているのです。

 

当記事は、www.innovaud.ch掲載記事を引用しています。

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